バゴ 血統考察

血統考察

バゴ 血統

バゴ 5代血統表

バゴ(フランス) 牡馬 2001/2/3生 黒鹿
戦績:国内1戦0勝/海外15戦8勝
1着実績:凱旋門賞/パリ大賞/ガネー賞/ジャンプラ賞/クリテリヨムアンテルナシヨナル/ショーヌ賞
2着実績:タタソールズゴールドC
3着以下:凱旋門賞(3着)/Kジョージ六世&QエリザベスS(3着)/サンクルー大賞(3着)/ヨークインターナショナルS(3着)/ニエル賞(3着)/ジャパンカップ(8着)

サイヤーライン:ナシュワン(ブラッシンググルーム系)
父母ライン:Bustino(ブランドフォード系)
母父ライン:ヌレイエフ(ノーザンダンサー系)
ボトムライン:ミスタープロスペクター(ネイティブダンサー系)
強調因子:ヌレイエフ

1流なのにずっと2流扱いの名馬


バゴはデビューからG1レース3勝を含む6連勝します。
2歳時は芝マイル(1600m)を使われ、3歳から芝中距離路線へ変更し凱旋門賞を制覇。
そしてカルティエ賞最優秀3歳牡馬を受賞します。
古馬になってからはなかなか勝ち切れず、4歳最後の2005年のジャパンカップで引退します。
ただ、全15戦して掲示板を外したのが引退レースのジャパンカップ(8着)のみで、常に安定した末脚を見せていました。
この安定した末脚は代表産駒のクロノジェネシスやステラヴェローチェにも引き継がれています。

バゴは凱旋門賞を含むG1を5勝もしている名馬です。
しかし何故かあまり評価されないんですよ。
その理由としては

  • フランス馬
  • 4歳から勝ち切れなくなった
  • 引退レースがジャパンカップ8着だった
  • 1つ上にアルカセットがいた
  • 血統が地味だった

こんな理由なんですが、今となってはこうなります。

  • フランス馬だが、血統構成は日本向き
  • 4歳から勝てなくなったが引退レース以外はすべて掲示板確保
  • 引退レースは全く仕上げていない
  • アルカセットはダーレーが購入するが、全く産駒が走らなかった
  • 今では1流馬を輩出

バゴもアルカセットも高値で日本人に売りたかった訳です。
2005年のジャパンカップのその見本市でした。
そこで当時の日本レコードでフランキーデットーリ騎乗のアルカセットがゼンノロブロイ、ハーツクライに勝つわけです。

アルカセット 5代血統表

父キングマンボで母父Niniskiで、Forliのクロス持ちです。
良血で父がキングカメハメハと同じキングマンボですからね…それでジャパンカップ日本レコードですから、誰しもが走ると思いますよ(笑)
私も当時はそう思いました。

結局、アルカセットはダーレージャパンが総額9億円のシンジケートが組まれました。
しかし産駒が全然勝てない。
種付け料も250万円から一気に80万円に下げられ、最終的に2011年にイギリスに輸出されました。

一方バゴは日本軽種牡馬協会で繁養され、初年度産駒から菊花賞馬ビッグウィークを輩出します。
その後一時は種付け頭数が30頭程まで減少しますが、クロノジェネシスやステラヴェローチェの活躍により近年は種付け頭数も100頭を超えています。

バゴの父ナシュワンは7戦6勝(G1を4勝)の名馬で、父はブラッシンググルームです。
母父は日本で大活躍のヌレイエフ。
母のMoonlight’s Boxは未出走で、祖母Coup de Genieは9戦4勝でフランスの芝短距離G1を2勝しています。
正直、良血ではありませんが、非常にバランスのとれた血統です。
サイヤーラインは持続系スピードと底力があるブラッシンググルーム系で、母父に爆発力のあるヌレイエフ、そして地味なんですが3代母父ミスプロで瞬発力のスピードを補う。
2005年当時だと「ふーん…」って感じだったのが、今だと「良いね!」ってなっちゃう血統表(笑)
ほんとバゴは10年早かったんですよね。

バゴはとにかくアメリカのスピード血統と合わせると走ります。
3代母父にアメリカダートスピード因子が必須です。
クロノジェネシスはSS、ステラヴェローチェはグランドスラム、ビッグウィークはノーザンディクター、クリスマスはSalt Lakeです。
これは単純にバゴは瞬発力が足りないので、それを補う必要があります。
まだ出ていないのですがStomcatなんか走ると思いますよ。

あと、バゴはBMS(母父成績)はダメです。
サイヤーラインが強烈なので、母系に入ると確実にケンカします。

最後にバゴは素晴らしい種牡馬です。
恐らく社台SSに入っていたら今頃リーディングを獲っていた可能性が高いと思っています。
それは圧倒的に繁殖牝馬の質が高いからです。
しかしその一方で日本軽種牡馬協会で繁養されているから低価格で種付けができているという側面もあります。
もし2005年ジャパンカップでバゴが勝っていたら…
もしアルカセットが居なかったら…
もしバゴの登場が10年遅かったら…
きっとバゴは超一流の種牡馬生活だったんだろうなぁ…

いやいや
まだバゴは終わってないですね(笑)
まだきっと出ますよ

代表産駒 クロノジェネシス

クロノジェネシス 5代血統表

クロノジェネシス 牝馬 2016/3/6生 芦毛 繁殖
戦績:国内15戦8勝/海外2戦0勝
1着実績:有馬記念/秋華賞/宝塚記念(2回)/京都記念/クイーンC/アイビーS
2着実績:大阪杯/阪神JF/ドバイシーマクラシック
3着以下:有馬記念(3着)/オークス(3着)/桜花賞(3着)/天皇賞秋(3着)/エリザベス女王杯(5着)/凱旋門賞(7着)

サイヤーライン:バゴ(ブラッシンググルーム系)
父母ライン:ヌレイエフ(ノーザンダンサー系)
母父ライン:クロフネ(デピュティミニスター系)
ボトムライン:サンデーサイレンス(ヘイルトゥリーズン系)
強調因子:クロフネ

父と同じく地味だけど、父の名を世に知らしめた名牝

クロノジェネシスはサンデーサラブレッドクラブで総額1400万円(一口35万円)の格安馬でした。
それも当然で、バゴは当時成績が下降線を辿り、母クロノロジストもそこまで活躍馬を出していませんでした(姉のノームコアはまだ活躍前)
サンデーサラブレッドクラブで一口35万円ですと、まず満口になってしまいますが、クロノジェネシスは満口にならなかったくらいです。

デビュー戦を2馬身差で難なく勝利し、続く2戦目のアイビーSで当時2歳戦最速上がりタイム32.5秒の末脚で連勝します。
阪神JFでは出遅れてダノンファンタジーに届かず2着
3歳になり、始動戦のクイーンCを勝って初重賞制覇
迎えた桜花賞では3着、オークスも3着
そして秋華賞で初G1制覇を果たす
古馬になってからは宝塚記念を連覇
2020年有馬記念を勝利するなど活躍し、5歳時にはドバイシーマクラシック(2着)、凱旋門賞(7着)に挑戦し、2021年有馬記念(3着)で現役を引退する。
父バゴと同じで、全17戦のうち掲示板を外したのは遠征した凱旋門賞のみです。
バゴはフランスから日本のジャパンカップに出走して8着に敗れ、クロノジェネシスは日本からフランスの凱旋門賞で7着に敗れています。

血統的には地味です。
よくこんな良い馬が出たなというのが本音です。
私個人的な血統ルールで「母or祖母が重賞勝ちならOK」というルールがあります。
そもそも母が走っていれば問題ないのは当然の事で、母が全然走ってなくても祖母が走っていれば「隔世遺伝」の可能性があるのでOKです。
しかし、クロノジェネシスは母クロノロジストも祖母のインディスユニゾンも重賞未勝利
終いには3代母のラスティックベルまでもが未勝利なんです(笑)
こんなのは私の記憶にはありません。
そもそも天下のノーザンファームがここまで粘る事自体、不思議ですよね。
祖母のインディスユニゾンがフサイチエアデールの全妹だったからかな…?

クロノジェネシスは母クロノロジストの9番仔になります。
8番仔はG1を2勝したノームコア(父ハービンジャー)です。
初仔~7番仔まではジャンポケやメイショウサムソンなど、ちょっと落ちる種牡馬を付けています(SSは近いので非SS種牡馬しか付けられていない)
それでも2勝~3勝してるんですよね。
そしてハービンジャーを付けてノームコア、バゴを付けてクロノジェネシスです。
質の高い種牡馬を付けたらコレですから、クロノロジストが名繫殖牝馬だったという事でしょう。

先にも話しましたが、バゴ産駒は母系にアメリカスピード血統が必須です。
クロノロジストは父クロフネ、母父SSなのでドンピシャです。
またミスプロ4×4も良いですね。
スピードが増強されます。

最後にクロノジェネシスの産駒についてですが、バゴの血統考察でもあるように「母父バゴは走らない」という大きな壁が立ちはだかります。
個人的に、産駒が活躍するのは結構難しいと思います。
何を種付けするのか楽しみですが、可能性があるとすればアメリカのダート血統でしょう。
ドレフォンも良さそうですが…
これはどうでしょう?

クロノジェネシス×ブリックスアンドモルタル 5代血統表

ブリックスアンドモルタルです。
あえてブラッシンググルームのクロスで母父ラインを強調させる。
スピードはかなり期待できそうだけど…ちょっとクロスのバランスが悪いかな…
でも面白そうですよね(笑)
NFさん、付けてくれませんかね??

クロノジェネシスがもたらしたもの

クロノジェネシスという馬は非常に多くの影響を与えた馬です。
ご存じの通り私達のチームの調教師であるS先生の管理馬でしたので、デビュー当時から色々な話は聞いています。
全てお話しするのは無理ですが、クロノジェネシス1頭でどれほどの影響を与えたのか…少しお話したいと思います。

まず、S先生のJRA初G1勝利をもたらします。
S先生とは開業時からの付き合いです。
調教師といってもいきなりG1を勝てるような簡単な世界ではありません。
G1未勝利で定年を迎え、引退していく調教師もいます。
腕はもちろん必要ですが、より良い馬を迎え入れる営業力も必要だし、優秀な調教助手も必要です。
そして何より結果が求められます。
それはもう企業の社長と同じです。

開業から3年目にクロノジェネシスが入厩します。
当時から「バゴの牝馬がめちゃくちゃ良いです」と聞いていましたので、私達チームも陰ながら応援していました。
そんな中、北村友一騎手騎乗で阪神JF2着、桜花賞3着、オークス3着とG1でなかなか勝てません。
正直、北村友一騎手の騎乗ミスと言われても仕方ないレースもありました。
当時S先生は相当悩んでいました。

オークスの後、先生はかなり北村友一騎手とミーティングを重ねたと思います。
「いかに彼女の邪魔をせず気分良く走らせるか」
2人の共通認識はずっとこれでした。
そして秋華賞で初のG1タイトルを獲得するのですが、私個人的にはこの頃からS先生も北村友一騎手も変わった気がします。
残念ながら北村友一騎手は落馬負傷の為、長期離脱(クロノジェネシスのラスト3走は騎乗できず)となってしまいますが、確実にクロノジェネシスの影響を受け、一皮むけました。
周りの関係者の評価も上がりました。

S先生の厩舎も3年目でのJRAのG1勝利を獲得したことで大きく変わりました。
結果を出すことによって、4年目、5年目とどんどん入厩してくる馬の質が上がりました。
こうして厩舎レベルが上がってくると、私達の馬にも良い影響が出ます。
調教相手のレベルも上がるので、おのずとレースに強くなっていきます。
レヴェッツァはラウダシオンに相手してもらって、ドンちゃんはキラーアビリティと調教を積んできました。
また、馬の質が上がると同時に騎手もリーディング上位騎手が乗りに来ます。
Cデムーロの身元引受調教師になるくらいです。


これらの相乗効果の根源はクロノジェネシスなんです。
もちろん、S先生や北村友一騎手の努力もありますが、クロノジェネシスがS厩舎に入厩していなければ何も無かった訳ですから本当に感謝しかないですよね。

最後にクロノジェネシスのお陰でバゴの種付け料も上がり、種付け頭数も30頭程から100頭程まで上昇しました。
バゴも然り、レヴェッツァもドンちゃんも然り、S先生、S厩舎、北村友一騎手、NFしがらき、日本軽種牡馬協会もみんなクロノジェネシスに感謝です。

ありがとう!クロノジェネシス!

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