クラブ馬の選び方

セレクトセール

はじめに

まだG1馬も選んでいないのにこんな「馬の選び方」なんて書くのも大変烏滸がましいと思いましたが…もう10年以上「馬選び」をしてきた経験を1人でも多くの一口馬主さんに知って頂けたらと思い、書くことにしました。*2022年12月リバティアイランドでG1獲らせて頂きました

「馬の選び方」と言っても、もちろん人それぞれ違うのは当たり前です。
血統を重視する人もいれば、馬体を重視する人、もう誕生日だけで決める人もいると思います。
それで全然OKですが…最低限のポイントは抑えておいたほうが良いと思います。

愛馬が「未勝利で終わる」より「3勝以上」した方が良いですよね?
もちろん怪我や病気などは予想できません。
ですが、しっかりポイントを抑えておけば、デビューした馬が「未勝利で終わる」ことはほとんど無くなると思います。

私が選んだクラブ馬で、デビューして未勝利で終わった事はありません。

所属厩舎 その1

「いきなり厩舎なの!?」と驚くかも知れませんが、クラブ馬に関してはこれが最も重要だと私は思っています。
なぜかと言いますと、どんな良い馬でも厩舎次第で走らなかったり、逆に能力が足りない馬を勝たせるのも厩舎次第です。

厩舎=会社と思ってください。
社長が調教師で調教助手が従業員です。
そして、フリーの騎手がコンサルタントになります。
経営が上手く回っているところに良い素材が入荷すれば、良い商品になります。
逆に良い素材だったとしても、経営が上手く回っていないところに入ると良い商品にはなりません。

また、良い厩舎には既に良い商品(馬)があるので、入荷された商品(馬)も必然的に良くなっていきます(調教など)
それと騎手は調教に乗っています。
当然、騎手も良い馬に乗って勝ちたい訳ですから、良い厩舎を優先します。
そうすると相乗効果で馬が良くなっていきます。

ノーザンファーム 厩舎

所属厩舎 その2

また、クラブ側も「良い馬は良い厩舎」に入厩させたいと思うのは当たり前です。
所属厩舎が決まっている頃は、もうある程度ポテンシャルは把握しています。
もちろんデビューさせるまで「この馬は絶対に走る」なんて分かりませんが、運動能力は分かっていますので、クラブ側はその馬に見合った厩舎を選択します。

厩舎側も当然選択します。
毎年リーディングを争う訳ですから「良い馬」を選択したいと思うのは当たり前ですよね。
また、厩舎は馬房数が決まっています。
逆に言えば「走らない馬」で馬房数を埋めたくはないと思うのも当たり前の話なのです。

クラブ募集馬のパンフレットを見るよりも調教師のデータを見てください。

調教師のリーディングを見るのではなく、その内容を見てください。
*netkeiba.comのデータベースから簡単に見れます
調教師にも得手不得手があります。
例えば現在リーディング1位の矢作先生を見てみましょう。

矢作厩舎データ netkeiba.com

見て欲しいのは右側の管理馬です。
これは現役管理馬の獲得賞金順に並んでいます。
これだけでも「牡馬で芝ダート問わず2000mに強い」という事が分かると思います。

もし、クラブ募集馬パンフレットで、矢作厩舎所属の牝馬だったり、父がミッキーアイルなどの明らかに短距離血統だったらパスしたほうが良いです。
不得意なんですから仕方ないです。

須貝厩舎データ netkeiba.com

これは須貝先生のデータですが、牝馬の中距離が得意というのが分かると思います。

このようにパっと見ただけでもその調教師の「得意不得意」がある程度分かります。
この他にも優先度の高い騎手や得意な馬齢、得意な競馬場など…今はこのようなデータが無料で見れますので、是非役立てて下さい。

血統

ある程度、所属厩舎で絞ったら僕の場合は血統を全頭チェックします。

血統を見るときは必ずJBISで見てください。
パンフレットや他サイトですと不受胎や未勝利引退馬の記載が無いので騙されます。

JBIS ヤンキーローズ

この画像はJBISのヤンキーローズ繁殖牝馬情報ページになります。
JBISの検索で「ヤンキーローズ」と入力するだけです。
JBISはかなり優秀で、ヤンキーローズの産駒はもちろん、ヤンキーローズの母Condesaarの産駒や、Condesaarをクリックすれば今度は先代の情報に移動できますので、代を遡って情報を見ることができます。

血統を見ると言っても、正直キリがありません。
訳が分からない方も居ると思いますので、ここでは押さえておくポイントを紹介します。

  • 何番目の仔なのか
  • 母と祖母の実績
  • 産駒は性別で成績を判断する
  • 全兄弟が居ればその成績
  • 祖母の産駒

まず番仔ですが、データ上初仔(1番仔)と10番仔以下だと成績が下がります
もちろん絶対ではありませんが避けた方が良いでしょう。

次に母と祖母の実績ですが「母or祖母に重賞勝ちがある」のが基本です。
これも絶対ではありませんが、母or祖母に重賞勝ちが無い仔は避けた方が良いでしょう。

次に母の産駒(兄弟)を見ます。
注意してほしいのは牡馬と牝馬を必ず分けて見てください。
例えば、初仔が牡馬で0勝、2番仔が牝馬で3勝、3番仔が牝馬で2勝、4番仔が牡馬で0勝、5番仔が牝馬で重賞勝ち、6番仔が牡馬でデビュー前、そして今回の7番仔が牡馬だった場合…
分かりますか?
狙いたくなると思いますが、牡馬の今回はパスしてください。
このように性別で分けると牝馬は全頭勝ち上がっており、牡馬は全頭未勝利になります。

次に全兄弟がもし居たら必ず成績を見てください。
例えば2番仔でディープを付けて1勝も出来ずで、4番仔でまたディープを付けているパターンはまず走りません。
逆に2番仔でディープを付けて重賞クラスで、4番仔でまたディープを付けているパターンは高確率で走ります。
ただし性別が違う場合はノーカウントです。

最後に祖母の産駒ですが、ここは1つ押さえておけばOKです。
良い成績を挙げているのは牡馬なのか?牝馬なのか?
これだけで良いです。
ボトムライン(母系)は良質な牡馬を出すのか、良質な牝馬を出すのか、基本的には偏ります。
ですので祖母の産駒で牡馬の成績のほうが良ければ牡馬を狙う。
逆に牝馬のほうが成績が良ければ牝馬を狙う
ようにしてください。

馬体

最後に馬体についてお話します。
馬体を見るときのポイントですが…「この先成長する箇所は見なくてOK」です。
要するに顔以外は参考にならないという事です(笑)

こちらの写真を見てください。

オーサムフェザーの2021

セレクトセール2022でうちのチームが落札したオーサムフェザーの2021です。
下の画像が落札直後7月11日の馬体で、上の画像がS先生が撮った8月15日の馬体です。
およそ1か月でこれほど成長します。

NFの知り合いの人も「幼駒は2週間で別馬になります」と言っていました。
思っているよりも馬はもの凄いスピードで成長しますので、パンフレットの馬体を見てもデビューするときにどんな馬体になっているのか?なんて分かりません。
逆にパンフレットの馬体がメチャクチャ良く見える馬は「もう完成されている」可能性があるので、走らないケースが多々ありますし、得てしてそういう馬は高額です。

流石に馬体重が小さすぎる仔は避けた方が良いですが…基本的に

顔が小っちゃい馬であればOKです。

まとめ

私がリバティアイランドを選んだプロセスは

  • 良質な牝馬を輩出する母系だった
  • 初仔のディープ産駒牝馬が、良いけどちょっと足らない馬だった
  • 牡馬牝馬を問わずスピード重視の中内田厩舎だった

正直この3点くらいで速攻で決めました。
本当に馬体は加味していません。

リバティアイランド

リバティアイランドは現在まだ1戦1勝ですが、恐らく怪我が無ければ3勝以上はしてくれると思います。
クラブ馬の損益分岐の目安は3勝です。
もちろん運良く当選したから良かったですが、私は3年連続で落選し、そして今年も落選しました。
せっかく一口馬主をやるならプラス収支のほうが良いです。
ですので落選しても仕方ないと思っています

皆さんの大事なお金を投資する訳ですので、しっかりデータを見て選んでほしいです。
その中で、今回の記事を是非参考にして頂けたら幸いです。
今回ポイントに挙げた項目をクリアした馬ならきっと楽しい馬主ライフを送れると思っています。

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