2020セレクトセール

セレクトセール

今回は2020年に開催されたセレクトセールについてお話したいと思います。

セレクトセール前準備

セレクトセールは毎年7月2週目の月曜日(1歳馬セリ)火曜日(当歳馬セリ)に北海道のノーザンホースパークにて開催される日本最大の競走馬セリ市です。
私たちのチームはノーザンファームさん(NF)にお世話になっているので、NF生産馬を中心にセリ全頭をチェックします。
私は血統担当なので、毎年6月からは血統表との戦いが始まります。
セール2週間前くらいに冊子が届き、ここからペースがどんどんと上がっていきます。

私たちのチームはダノンさんやサトノさんみたいな買い方はもちろん出来ません。
基本的には「1頭入魂」です。
まぁ普通に考えておかしいのですが、10億円とか20億円とか普通に使う人達の集まりですからね。。。
でも、購買価格でG1馬が保証される訳ではありません。
デアリングタクトは800万円でも買手がつかず、主取り(生産者戻し)になりました。
それが牝馬三冠馬になってしまう訳ですから面白いですよね。

セレクトセールの上場馬の中に未来のG1馬は必ず居ます。
それを見つけ出す為に私の出来る最大限の準備をして、セールに臨みます。

セレクトセール下見

セレクトセールの1か月程前から下見が始まります。
オーナーや馬体担当のI氏、調教師のS先生はセール前に最低1回、多いと3回北海道まで下見に行きます。
ただ、1歳馬は1週間で馬体が変わります。
本当に馬は成長スピードが早いので「えっ!こんなんだった?」という事が多々あります。
ディープ産駒が高値を付けていた要因として、当歳からデビューするまで馬体のバランスが崩れない馬が多いからとI氏は言っていました。
最近は私も馬体を見慣れるようになり「あっこれはディープだな」とか、トモがもっこりしていると「キンカメ系だな」という感じで分かるようになりました。

セール開催が月曜日と火曜日になるので、前々日の土曜日に当歳馬をチームで下見をします。
ここである程度絞り込みをして、セリ当日の順番を考えながらチームのみんなとイメージを共有していきます。

セリ前日となる日曜日はセリ会場(ノーザンホースパーク)で、1歳馬の下見と登録作業を行います。
ただ、チーム馬体担当I氏は1歳馬なんか見ても仕方ないといつも言います。
なぜかと言うと、馬の馬体バランスは崩れながら成長していきますので、1歳馬は今日と来週では違う形になってしまうから見ても仕方ないと言う事です。
だから、当歳の馬体バランスは古馬(最終形体)と同じバランスになるので当歳のが分かりやすいのです。

2020セレクトセール1日目

いよいよ1歳馬のセリが始まります。
セリの前に表彰式があり、1頭目が上場されますが、この1頭目と最後の1頭は0円スタートになります。
主催者側もビジネスなので、色々な事を考えて上場リストを組んできます。
1頭目は今年一押しの種牡馬、10番目あたりに最初の目玉、50番目あたりに次の目玉、そして100番目あたりに最大の目玉と、流れをなるべく止めないようなリストで構成しています。
流石にラストの50頭(1歳馬で約260頭上場)は血統的にも落ちてきますし、価格も落ちてきます。
そこを狙うのも醍醐味ですが、この日はスルーすると決めていました。

この記事を書いているのが2022年1月ですので、この時の1歳馬が明け3歳馬になります。
パレスルーマーの2019父ディープインパクト→この仔がホープフルS2着のジャスティンパレスで2億900万円で落札されています。
強烈だったのが、シーヴの2019父ディープインパクト→この仔は5億6100万円で落札されていますが、現在のところ3戦してまだ勝ち上がっていません。

ちなみにI氏は最初から「ドレフォン産駒はみんなすごく良い馬体なんだよね」と言っていました。
正直なところ、私は血統的にドレフォンは日本の芝では厳しいと考えていましたので、今の活躍を考えると「馬体も大事なんだな」と思いました。

馬体担当I氏
馬体担当I氏

走るかどうかは分からないけど、ドレフォン産駒ってみんなバランス良くていいよね!

2020セレクトセール2日目

泣いても笑ってもセレクトセール最終日、勝負の日です。
当歳馬はセリの前に広大な敷地に母馬と一緒に下見ができ、そこで最終確認をします。
この時は狙いたい馬が牝馬ばかりで、正直厳しい戦いになると予想。
チームとしては2頭に絞り込みました。

  • 上場番号301 スクールミストレス2020 父ドゥラメンテ
  • 上場番号324 シーズオールエルティッシュ2020 父リアルスティール

セリに入る前に落札額を予想します。
血統面、馬体、前日の落札データなどを考慮して、スクールミストレスは1億円から勝負で1億5000万円、シーズオールエルティッシュは5000万円から勝負で7000万円と予想。
もちろんセリなので相手次第で高く付く場合もありますし、低くなる場合もあります。
もう後はオーナーに任せるしかありません。

スクールミストレスはセリ1番目なので0円からスタートされます。
私は正直「スクールミストレスは買えないだろう」と思って戦況を見つめていました。
まず1億円は乗るだろうから、そこからどこまで伸びるのかと思っていたところ…
まさかのハンマーが8600万円で落ちました。
もちろん落札したのはうちのオーナーです。
未だにこの仔が8600万円で落札できたのはラッキーだったと思います。

落札後、NFの幹部の人たちと勝利の握手をし、記念撮影をして愛馬としてチームに迎えます。
この瞬間が本当に最高です。
何度やっても震えます。
まだ走ってもないのに、勝ってもいないのに、この先どうなるか分からないのに…うちのチームに来てくれたことに運命的なものを感じます。

今回はこの1頭で予定通り終了です。
結局シーズオールエルティッシュは7700万円で落札されました。
うちがもし競っていたら1億円近くまで行ってたのかも分かりません。
とにかくこれで2020セレクトセールは大成功で幕を閉じました。

スクールミストレス2020

スクールミストレス2020

スクールミストレスの2020 父ドゥラメンテ 母父EQUAL STRIPES 牡馬/栗毛/1/19生

もう馬体担当のI氏が「今年の当歳でこの仔が抜けてる」と評価した馬体です。
私は専門ではないのですが、とにかくバランスが良いのは分かります。
背中のライン、首の太さと長さ、胸の深さ、両脚の太さと長さ角度、顔の大きさ、そしてトモの大きさ、素晴らしい馬体です。
この仔は2022年に順調にいけばデビューします。
この仔の成長過程も記事にしていきますので、興味のある方は楽しみにして頂ければ幸いです。

スクールミストレス2020 血統

母はアルゼンチンで9戦4勝、うちホルヘデアトゥーチャ賞とCEディスタフのG1を2勝し、G2のパセアナ賞も勝っています。
アルゼンチンの馬ってどうなの?と思う人が多いと思いますが、私個人的には良いと思っています。
サトノダイヤモンドの母マルペンサ、レシステンシアの母マラコスタムブラダなど、スピードがある馬が多いですね。


もともとは北米血統ですので、スピード色が強いのは当たり前なんですが…「アルゼンチンのサンデーサイレンス」と云われるサザンヘイローが大体入っています。
この仔もそのサザンヘイローが母母父に入っています。
そして、この仔の一番のポイントが母父のラインに何故かバブルカンパニーがいるんですよね。
バブルカンパニーはバブルガムフェローの母で、バブルカンパニーとブラッシンググルームの子がCandy Stripesになります。


このバブルカンパニー×ブラッシンググルームという血が私はとても印象的でした。
ブラッシンググルームは世界的大種牡馬なのに、日本にはそれほど多く入ってきていません。
(個人的にはすごく日本向きだと思っています)
最近だとステラヴェローチェとか、デゼル、前だとクロノジェネシスやミッキークイーンなんか持っていますね。(バゴは父がブラッシンググルーム系のナシュワン)


この仔の血統表見て「スケール感が大きいな」というのが第一印象でした。
父ドゥラメンテは血統に全く穴が無い良血馬で、母は日本向きの構成ですから。
ただ、気になるのはスピードの因子が少ない点です。
速い上がりは期待できないけど、長く良い脚使える馬になってくれたら良いと思います。

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