モーリス 血統
モーリス 牡馬 2011/3/2生 鹿
戦績:国内15戦8勝/海外3戦3勝
総賞金:53624.6万円
1着実績:安田記念/天皇賞秋/マイルCS/香港カップ/チャンピオンズマイル/香港マイル
2着実績:安田記念/札幌記念
3着以下:京王杯2歳S(6着)/シンザン記念(5着)/スプリングS(4着)/京都新聞杯(7着)
サイヤーライン:グラスワンダー(ロベルト系)
父母ライン:サンデーサイレンス(ヘイルトゥリーズン系)
母父ライン:サドラーズウェルズ(ノーザンダンサー系)
ボトムライン:リファール(ノーザンダンサー系)
強調因子:サドラーズウェルズ
モーリスは夫妻で経営する戸川牧場という小さな牧場で生まれます。
母のメジロフランシスは8戦0勝で引退
戸川夫妻がメジロ牧場で働いていた縁でメジロフランシスを譲り受けます。
そして「ダイナアクトレスを持っているスクリーンヒーローをつけたかった」と、後に戸川夫妻が語っていますが、これが大正解でした。(ダイナアクトレスはスクリーンヒーローの祖母)
モーリスは北海道トレーニングセールの公開調教で2F21.8という驚異的なタイムを計測します。
ノーザンファーム(NF)が1050万円で購入するのですが、この時「あの馬はいくらでもいいから絶対に落とせ」と緊迫したらしいです。
そして、デビュー戦で2歳コースレコードで勝利します。
しかし、能力はずば抜けているもののゲートが悪かったり、背腰に爆弾を抱えていた事も影響してなかなか勝てません。
4連敗の後、7ヵ月の長期休養に入ります。
また、このタイミングで堀厩舎に転厩します。
この長期休養と堀厩舎転厩がターニングポイントになります。
休養明けから7連勝(内G1を4勝)し、年度代表馬に選ばれます。
さらにその後、距離を伸ばし(2000m)天皇賞秋と香港カップを連勝して有終の美を飾ります。
何が凄いかって、NFですよ。
- 当歳時150万円だった馬のポテンシャルを一発で見抜く相馬眼
- 3歳で長期休養&転厩をする判断力
- 種牡馬としての価値を高める為に距離延長をする先見の明
まぁこれに応えたモーリスが一番凄いんですがね
血統的には本当に地味です(笑)
やっぱりポイントは「メジロ血統」でしょう。
私はメジロ全盛期の事はよく分かりません。
もちろん馬は知っていますよ。
メジロマックイーン、メジロラモーヌ、メジロライアン、メジロドーベルなど、血統的に知っているだけです。
メジロ牧場は有珠山噴火の影響や成績不振により2011年にレイクヴィラファームに売却されます。
この時にモーリスの母メジロフランシスは戸川牧場へ移転するわけですが、このあたりから活躍馬が出現し始めます。
何故かって言うと、種付け馬の質が上がったからです。
逆を言うと、不振の時はお金も無いから質の低い種牡馬しかつけられなかった訳です。
この流れを私たちチームは知っていましたので、実際にブリラーレ(母メジロルバート父ディープブリランテ/甥にグローリーヴェイズ)をセレクトセールで購入しました。
ただ、もう現在はこの流れが周知されてしまい価格が高騰してしまいました。
実際に洞爺湖まで見学に行きましたが、素晴らしい環境のもと、レイクヴィラ代表岩崎社長の努力が実を結んだ結果だと思います。
話を血統に戻しますと、祖母のメジロモントレーは実はかなり優秀であることが分かります。
産駒に目立った活躍馬は居ませんが、それも当然で種付け馬が酷い酷い。。。
頑張ってカーネギーをつけてメジロフランシスを出します。
メジロフランシス自身は残念な競争成績ですが、モーリス輩出の下地は作りました。
地味なんですが、サドラーとリファールを持っています。
戸川さんは「勝負根性が欲しかった」と言っていますが、必要なのはスピード持続力だと思います。
そもそもメジロ母系はスピードは持っているし、心肺機能も高い。
しかも結構な割合でリファールが入っています。
リファールは勝負根性因子ですからね。
問題はモーリスが種牡馬として成功するか?というと私は難しい気がします。
確かにSS4×3が発生確率高めで良さそうに見えますが、私はSSインブリードはそれほど爆発力を生まないと思っています。
そもそもSSはそんなに主張が強い因子ではありません。
それにやっぱり母系が落ちるんですよね。
地味なんですよ。
だから頑張って花のあるシーザリオ、シンハライト、ジェンティルドンナ、ハープスター、ブエナビスタ、マルセリーナ、ヴィルシーナなどS級繁殖牝馬を初年度から交配します。
でも厳しいですよね。
やっぱりメジロ一族はボトムラインでこそ活きてくると思います。
「派手」な繫殖牝馬よりも「地味」な繫殖牝馬で活躍馬が出そうです。
代表産駒 ピクシーナイト
ピクシーナイト 牡馬 2018/5/14生 鹿 モーリス第1世代
現役 戦績:国内8戦3勝/海外1戦0勝
1着実績:スプリンターズS/シンザン記念
2着実績:セントウルS/CBC賞
3着以下:NHKマイルC(12着)/アーリントンC(4着)
サイヤーライン:グラスワンダー(ロベルト系)
父母ライン:サドラーズウェルズ(ノーザンダンサー系)
母父ライン:キングヘイロー(リファール系)
ボトムライン:サクラバクシンオー(プリンスリーギフト系)
強調因子:リファール
やっぱりモーリスはこういう地味な牝系からG1馬が出ましたね。
派手な繫殖牝馬は苦戦していますから考察通りです。
ピクシーナイトの戦績を見ると、なんだかモーリスの種牡馬としての期待とは逆な感じで面白いです。
デビューは芝1400mで勝利して、3戦目でシンザン記念を勝ちます。
馬体重が530㎏程あってスピードがある。
この時点でクラシックは諦めて、NHKマイル狙いに変更
続くアーリントンCでまさかの4着、そしてNHKマイルは12着に大敗してしまいます。
シンザン記念を逃げて勝っていますので、スピードが相当勝ってる馬なんだと思います。
NFとしてはモーリス産駒で何としてもクラシックで勝ちたい訳ですよ。
その為にモーリスを2000mまで距離を伸ばしてG1獲らせて引退させた。
だってランカーのオーナーは皆ダービーを目指しているので、クラシックに縁がない産駒には興味がないんです。
ってことは高値で売れない=需要がなくなる訳です。
そんなNFの思惑とは逆にピクシーナイトは1200mで本領発揮します。
CBC賞、セントウルSと2戦連続で2着に健闘
続くG1スプリンターズSでレシステンシアを抑えて勝利します。
これで「やっぱりモーリス産駒は短距離なんだ」って思っちゃいますよね。
血統的には決して短距離ではありません。
スプリンターズS(中山芝1200m)を勝ったので、私が大事にしている「3代母父」のサクラバクシンオーが出たと最初は思いましたが、少し違う気がします。
そもそもシンザン記念(芝1600m)を勝っています。
やっぱり血統的に「距離適性=父」が基本ですから、違うところに問題がある。
そうなると気性的なところが大きいと思います。
モーリス自身は気性が難しいことはなかったようですが、メジロ系は気性難が多いです。
産駒を見ているとやっぱりポテンシャルは相当高いのに気性難で勝ち切れていない馬が多いですよね。
ピクシーナイトは2021年香港スプリントで落馬してしまいます。
ただ、お父さんも3歳後半を棒に振りますが、復帰してから7連勝と覚醒しました。
血統を見ても決して早熟ではありませんし、古馬になってからのほうが良さそうです。
メジロの血は確かに地味だし気性難です。
でも何か不思議な底力があります。
「メジロ雑草魂」こんな感じでしょうか…
そー言えば、うちのブリラーレも鼻血出しながら上がり最速出してたなぁー(笑)
きっとピクシーナイトは復活しますよ。
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